IMAX1.43:1の40%増の映像について

　IMAXレーザー/GTテクノロジーの宣伝では“最大40％増の映像”という表現が用いられていますが、どう計算すれば40%になるのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

　下表は主要な画郭を横幅一定として比較した場合のサイズの増減率をまとめたものになります。表の左端の項目が基準となります。

横幅一定での各画郭のサイズ増減率

	2.76:1	2.39:1	2.20:1	2.00:1	1.90.1	1.85:1	1.78:1	1.66:1	1.43:1	1.33:1
2.76:1	0%	15.5%	25.5%	38.0%	45.3%	49.2%	55.1%	66.3%	93.0%	107.5%
2.39:1	-13.4%	0%	8.6%	19.5%	①25.8%	29.2%	34.3%	44.0%	②67.1%	79.7%
2.20:1	-20.3%	-7.9%	0%	10.0%	15.8%	18.9%	23.6%	32.5%	53.8%	65.4%
2.00:1	-27.5%	-16.3%	-9.1%	0%	5.3%	8.1%	12.4%	20.5%	③39.9%	50.4%
1.90.1	-31.2%	-20.5%	-13.6%	-5.0%	0%	2.7%	6.7%	14.5%	32.9%	42.9%
1.85:1	-33.0%	-22.6%	-15.9%	-7.5%	-2.6%	0%	3.9%	11.4%	29.4%	39.1%
1.78:1	-35.5%	-25.5%	-19.1%	-11.0%	-6.3%	-3.8%	0%	7.2%	24.5%	33.8%
1.66:1	-39.9%	-30.5%	-24.5%	-17.0%	-12.6%	-10.3%	-6.7%	0%	16.1%	24.8%
1.43:1	-48.2%	④-40.2%	-35.0%	-28.5%	-24.7%	-22.7%	-19.7%	-13.9%	0%	7.5%
1.33:1	-51.8%	-44.4%	-39.5%	-33.5%	-30.0%	-28.1%	-25.3%	-19.9%	-7.0%	0%

　まず、2.39:1から1.90:1は①25.8%≒26%増になりますが、これは、IMAXデジタルシアターやIMAXレーザーの宣伝で使われている値です。

IMAX1.90:1の拡張イメージ





IMAX1.43:1の拡張イメージ




　同じ要領で2.39:1から1.43:1を計算すると40%ではなく②67.1%増となります。
　2.00:1から1.43:1は③39.9%と40%増に最も近いですが、一般的な2.39:1, 1.85:1やIMAXと関連の深い2.20, 1.90:1ではなく、2.00:1（ユニビジウム）と比較するのは合理性に欠けます。
　そこで、1.43:1を基準として計算すると1.43:1から2.39:1は④-40.2%≒40%減となります。
　2.39:1, 1.90:1, 1.43:1のサイズの関係は下表のとおりです。

通常 2.39:1	→ 67%増			IMAX 1.43:1
	→ 26%増	IMAX 1.90:1	→ 33%増
	← 21％減		← 25％減
	← 40%減

　一説として、IMAX1.43:1から通常2.39:1は40%減とするところを通常2.39:1からIMAX1.43:1は40%増と誤って表記したという可能性が考えられます。

　参考までに、40%増という表記はIMAX次世代レーザー（IMAXレーザー/GTテクノロジーの旧名称）発表前の2012年頃には既に使われており、IMAXフィルムのサイズとの関連も推察されましたが、40%という数値は導出できませんでした。

IMAX宣伝資料


　67%ではなく40%という数値は通常版やIMAX1.90:1版を上映する劇場への配慮なのか、単なる計算ミスなのか、それとも他に比較基準があるのか、定かではありません。
　いずれにしても、興行会社や配給会社もIMAX社の表記をそのまま用いた結果、誤った数値が定着していったのではないかと考えられます。