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解説:ドルビーシネマ用DCP [映画]

 ドルビービジョン映像とドルビーアトモス音声が記録されているドルビーシネマ用DCPについて解説します。

dlb_cin_horz_rgb_blk_1x.png

ドルビーシネマDCPの主な仕様
方式 SMPTE
映像 ファイル形式:JPEG 2000(MXFラッピング)
解像度:4096×2160(4K), 2048×1080(2K)
フレームレート(SFR):24fps(2D), 48fps(3D)
色空間:X″Y″Z″ (Dolby EDR)
色深度:12bit
音声 ファイル形式:WAV、XML(MXFラッピング)
量子化ビット数:24bit
サンプリングレート:48kHZ
チャンネル数:7.1.2ch+118オブジェクト(最大)

・規格
 SMPTE方式準拠の為、ドルビーシネマ非対応設備でも上映自体は可能ですが、制作者の意図する映像を再現するには、映画館用ドルビービジョン(以下、Dolby EDR)の要件を満たす機器及び設定が必要になります。
 音声ファイルはドルビーアトモス用とバックアップ用(5.1chまたは7.1ch)の2種類が含まれています。バックアップ用音声はドルビーアトモス非対応設備でも再生可能です。

ドルビーシネマDCPファイル例
tgm_dcp.png
tgm_player.png


・映像
 JPEG2000変換前の通常のデジタルシネマ映像(DCI-P3)とDolby EDRでは下表のような違いがあります。
 Dolby EDRは、家庭用とピーク輝度が異なるほか、色域はRec.2020ではなくP3です。DCPに動的メタデータは含まれていません。

DCI-P3とDolby EDRの比較
方式 DCI-P3 Dolby EDR
色域 P3 P3
EOTF(電気光伝達関数) ガンマ 2.6 SMPTE ST 2084 (PQ)
白色点 DCI (Xw 0.3140, Yw 0.3510) D65 (Xw 0.3127, Yw 0.3290)
ピーク輝度 48 cd/m2 108 cd/m2

 CPL(コンポジションプレイリスト)には映像がDolby EDRであることを示す記述が含まれており、対応する機器では自動でEDR(Extended Dynamic Range)モードに切り替えることができます。

CPLメタデータ記述例
cpl_edr.png

Christie社ソフトウェアのアイコン例
christie_icon.png


・音声
 ドルビーアトモス音声は通常の5.1ch/7.1ch音声とは異なるAUXデータとして記録されています。
 ドルビーアトモス音声ファイルには7.1.2chのベッド音声データと最大118個のオブジェクト音声データ・メタデータが含まれています。
 SMPTE ST 2098-2 没入型オーディオ・ビットストリーム(IAB)規格に準拠している為、DTS:X for IABやAuro Max対応の設備でもオブジェクトオーディオとして再生可能です。

変換したドルビーアトモス音声ファイル例
tgm_atmos.png

 バックアップ用の5.1ch/7.1ch音声ファイルのch.14にはシネマプロセッサーとの同期信号が記録されています。


参考資料
https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=9161348
https://professionalsupport.dolby.com/s/article/Dolby-Vision-cinema-targets-trims-FAQs?language=en_US
https://www.christiedigital.com/globalassets/resources/public/020-102712-03-christie-lit-man-usr-cp4325-cp4330-rgb.pdf
https://developer.dolby.com/globalassets/technology/atmos/dolby_atmos_imf_iab_interoperability_guidelines.pdf
https://isdcf.com/papers/ISDCF-Doc4-Audio-channel-recommendations.pdf
https://isdcf.com/papers/ISDCF-Doc15-IAB-Profile-1-202006012.pdf

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